雨上がりの夜が好き

本の感想多めです

洋服について


 「洋服を着る」ことを意識的に行うようになったのは、大学1年の冬くらいからだと思う。はじめは王道のファッションをしていたのに、その後古着をよく着るようになった。初めは派手な柄シャツとかばっかり着てて、今ではだいぶ丸くなり、落ち着きとアイデンティティの両立のさせ方もなんとなくわかってきた。


 派手な柄シャツを着ていた頃、自分にとって服は「鎧」だったのだと思う。息が詰まるようなキャンパスや大学の教室で、自分の半径1mの空気を自分のものにするための手段。誰だって呼吸することは許されているはずだけど、あの時の自分にはそれすら難しかった。


 今ファッションが「落ち着いてきた」のは、自分にとっての意味合いが変わってきたからだと思う。服は自分の一部で、アイデンティティを表すもの。洋服自体にはそこまで力はないけれど、ただささやかに「私はこういう人間ですよ」ということを表すものだ。もう、教室の空気を吸うのは辛くない。知らない人とも気負わずなんとか話すことができる。だから今はシンプルに、洋服が好きだ。