雨上がりの夜が好き

本の感想多めです

1/2(映画『そばかす』・正月)

 12/26に『そばかす』という映画を観た。2022最後の映画。『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子さん主演で、音楽を羊文学の塩塚モエカさんが担当するということで、楽しみにして観に行った。

 映画として面白かったかと言われると、微妙。雑にいえばAセクシャルの人を題材にした映画なのだけど、個人的な語りのように見えてかなり政治的な映画だと思った。「Aセクシャルの人はこういう出来事に遭遇するのだろうな」と想像に難くない出来事があり、そこで感情が動き、どうにもならなくて諦める、という構造の繰り返し。

 ただ面白い映画だと言える所もあって、それは前田敦子さんの撮り方。今まで映画やドラマで観たどの前田敦子さんよりも活き活きとフレームの中で動き、人を惹きつける魅力を持った女性としての彼女が立ち現れていて、そこは本当にいい映画。監督と前田敦子の相性が良かったのか、或いは彼女の女優としての能力が私が知らない間に上がっていたのかはわからないが、それだけでも観る価値のある映画だった。

 また、想像していた事柄を再確認させられる映画でもあった。ある人々にとっては、他人に恋愛感情を抱かれたり、或いは第三者に人間関係に恋愛文脈を勝手に読み込まれたりすることは、認識の外の出来事で、その人々はただ困惑してしまうということ。またその人々は、あらゆる人に対し最後の一歩を踏み込めないし、踏み込ませて貰えない寂しさを抱えているのかもしれないということ。だから出来事のみならず、その人の感傷も含めて受け止める姿勢が時に要求されるということ。「もし私ならこう感じたと思う」ではなく、「そうだったんだね」という姿勢。

 あと、三浦透子さんが縁側でタバコ片手に新居の資料を眺めるシーンがかなり良かった。最近は特定の女優がタバコを吸うシーン目当てで映画を観ることがある。『ちょっと思い出しただけ』も、伊藤沙莉さんのタバコを吸うシーン目当てで観に行ったりなどした。

 

 そして、お正月ですね。新年あけましておめでとうございます。2023年が始まってしまいました。

 お正月は勉強も程々に暇なのでよくInstagramを観るのだけど、ストーリーにおせちや家族旅行の写真を挙げている人が多くて驚く。私にとっては家族は最もプライベートな領域の事柄で、ストーリーに挙げるような軽快なものとはあまり捉えられないから。また個人的には、何枚もの空のお皿に囲まれたお重、という写真の構図に家族規範のようなものを感じて少し苦しい。個人の自由の範囲ではあると思うけど、最も私的な領域における人間関係をInstagramに載せられる人はかなりすごいと思う。同年代だけど世代が全く違うように感じる。

 取ってつけたようだけど、2023年はこういった自分の感情を大事にして生きていきたい。そして、自分に嘘をつかず、やることをやる。